サービス自慢のオール電化

商店街におけるESCOが市民出資事業として実行されたり、家庭における省エネ家電を推進するための家庭版ESCOが提唱されたりもしている。 また、省エネ投資によって温室効果ガスが削減できれば、投融資条件を優遇しようとするアイデアも浮かびやすい。
しかし、効果を省エネ投資前,と投資後について、客観的に計測するのは実は容易ではない。 1件当たりの規模が大きくない融資の場合、審査コストがかかりすぎてしまう。

省エネ投資を促進しようとする新たな取組みもはじまっている。 その例が「エナジーバンク」である。
「エナジーバンク」は、N銀行とSが設立したCO2排出削減の設備導入を目的としたファンドで、大阪ガスが協力する。 日本スマートエナジーが設備の省エネ性評価やCO2削減認証を行い、3年間で150億円の省エネ設備導入を目指している。
また、CDMの発想を応用して、1企業での温暖化防止対策を進めようとする構想もある。 経済産業省等が先導して、中小企業の温室効果ガスの削減分を排出権として第三者機関が評価したうえで、政府が排出権として認証して大企業が購入できるようにしようとする仕組みである。
大企業が中小企業に対して技術移転等を行えば、CDMでの先進国、発展途上国の関係と似たものになってくる。 ポイントになるのはやはり、第三者認証をどのように行うかである。
削減量の計算方法、「事前・事後」をどのように検証するのか、審査する人材は十分か、どのような投資を対象とするのか、などである。 再生可能エネルギー(風力、太陽光、バイオマス、地熱、雪氷、水力、波力・潮力など)の導入は、温暖化防止対策の軸の1つである。
温暖化防止効果以外にも、国レベルではエネルギー安全保障、自治体レベルではエネルギーの「地産地消」の観点からも注目が高まっている。 再生可能エネルギー市場は、もともとは初期投資の高さから、なかなか化石燃料に太刀打ちすることができず、そのため政策的な優遇措置によって推進されてきた。
「政策と関連の深い」市場としてはカーボンの先輩格でもある。 例えば、日本の太陽光発電を広めた設置費の補助、ヨーロッパ(現在ではとくにドイツやスペイン)での風力発電・太陽光発電などを拡大させた固定価格買上げ制度、日本などで電力事業者に再生可能エネルギー由来の電力を一定割合まで引き上げることを課しているRPS制度、米国のPTCという税制優遇制度などである。
最近では大規模風力発電であれば、原油価格の上昇も影響して、化石燃料比の競争力が増している。 再生可能エネルギーは世界的に需要が高まっており、市場規模は2005年で380億ドルに達し、2004年の300億ドルから27%も拡大した15)。

企業のM&Aなどの関連投資額も含めると、2005年では800億ドル、2006年には1000億ドルに達したとの報告もある。 日本でも、「再生可能エネルギー施設」で2000年1634億円から2010年9293億円と、5.7倍の規模拡大が予測されている。
再生可能エネルギーに関するファイナンスには、発電等設備製造資金、開発資金、発電事業のプロジェクトファイナンス(風力発電、バイオマス発電、廃棄物処理発電(バイオマス分)から、個人の住宅用の太陽光発電パネルローンまで、さまざまな可能性がある。 大規模な発電事業等のプロジェクトファイナンスの場合には、風力発電なら風況、木質バイオマスなら廃材・チップなどの原料の量および質など、原材料の評価(リスク分析)を金融機関がいかにできるかがポイントになってくる。
日本でもRPS法やグリーン電力証書システムなど、再生可能エネルギーの「買い手」の市場環境は整いつつあることから、「きちんと発電できるかどうか」の見極めが軍要だろう。 とくに、バイオマスエネルギーに対する注目度は高いが、内容(どのようなバイオマスなのか)が幅広いため、とくにノウハウの蓄積が必要になるものと考えられる。
プロジェクトファイナンス以外の場合でも、再生可能エネルギー関連の企業評価を行うにあたっては、当該エネルギーに関する知見の蓄積が重要になる。 風力、バイオマス、小水力などは地域に固有の特徴を持つエネルギーでもあり、地域に関するきめ細やかな「理解」が金融機関にとって競争力となりうる。
地球温暖化防止目的では、カーボンキャプチャー(炭素の吸収・固定化)などの新技術も次々と研究開発されている。 商業ファイナンスの対象領域となるまでには時間のかかりそうなものも含まれるが、こうしたトレンドや推進者の顔ぶれ(補助金などの政策投資を含めて)を把握しておくことは、金融機関のビジネスにとってもチャンスとなる。
気候変動が及ぼす負の影響に対する「適応」の分野は、温暖化防止対策向けの分野に比べると目立ちにくい。 しかし、異常気象(気候変動が原因かどうかにかかわらず)や、じわじわと進む温暖化の影響を物理的に受けやすいセクター(農業、観光など)に関連して、今後、リスクヘッジツールの開発が進むのではないかと考えられる。
代表的な商品としては、天候デリバティブ・保険やキャットボンドが挙げられる。 天候デリバティブや保険については、温暖化の影響を受けやすい発展途上国での、小口化等による浸透も期待されている。
持続可能な開発のためにマイクロファイナンスが注目を集めているが、その保険版である。 キャットボンドは、保険業界だけで大規模な自然災害リスクを抱えるのではなく、リスクを資本市場に移転して幅広い投資家に分散させるツールで、2006年には世界全体で49億ドルが発行されている。
気候変動に関連した自然災害(洪水や干ばつなど)にフォーカスした商品を提供している例には、クレディ・スイスグループがある。 地球温暖化関連の新商品として、個人向けにあるのは投信だけではない。

個人向けのローン商品やクレジットカードでも、主にオフセット(相殺)による地球温暖化防止を付加価値とした商品が開発されている。 住宅ローンでは、太陽光パネル付きや省エネ性能の高い住宅について、金利を優遇する商品が国内外で投入されている。
さらに、個人の温室効果ガス排出量とリンクさせた仕組み付きの商品例として、英国のCFS(コーポラティブ・フィナンシャル・サービス)傘下のコーポラティブ・バンクでは、ローンの期間中毎年、家庭の出すCO2排出をオフセットするサービスを行っている。 ここでは、長期間の取引となる住宅ローンの特性を活かし、金融機関が家庭の排出量の平均5分の1の金額をオフセット事業者(この場合、カーボンケア)に対して支払っている。
自動車についても、住宅と同様、ハイブリッド自動車などの環境負荷の比較的小さい車両について、金利を優遇する商品が国内外に存在する。 さらに、オーストラリアの、ecu(クレジットユニオンの1つ)では、車両タイプごとの温室効果ガス格付けを参照して金利を決定(最大約5%の差)し、ローン期間中に自動車が排出するCO2の100%オフセットを提供する。
また、前出のCFSでは、顧客に対して環境に配慮した交通やエコドライブの情報提供を行うなど、顧客への意識稗発をセットで行う例も見られる。

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